トスカ式ブログライフ

MTGの話を書いたりゲームの話を書いたり

ファン部屋から見る格安デッキ

 

 Magic Online(以下MO)には構築デッキのフリープレイができる部屋がある。その部屋は更に4つの項目に分かれており、その中の1つにJust for Funという部屋がある。所謂ファン部屋であるこの部屋は、主にカジュアルにMTGをプレイしたい人がマッチングされる部屋で、ティミーやジョニー、ヴォーソスなどが主に利用しているようだ。

 

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 カジュアルといってもいくつか視点があり、

ティミーの視点:

トーナメントではあまり使われないがサイズが大きかったり効果のインパクトが大きい呪文を相手に叩きつけたい

ジョニーの視点:

決まるのが難しい無限コンボや強力なシナジーを披露したい。マイナーなカードを主軸にした珍しいデッキを試してみたい

ヴォーソスの視点:

ストーリーに沿った呪文の選出をし、フレーバーに富んだデッキを回してみたい。特定のクリーチャータイプでまとめた部族デッキで相手に立ち向かいたい

 

そして一番大きい勢力である

セイバー(節約家)の視点:

 できる限りかけるお金を減らしながら勝てるデッキを模索したい。強力なレアに立ち向かえるコモンやアンコモンの群れを作り出したい

 

という視点がある。

 勿論複数の視点を持ってして作られたデッキと対戦することもある。

 

 さて、この中のセイバーの視点をもってして作られたデッキはファン部屋での1大勢力で、普段トーナメントシーンでは見かけないコモンやアンコモンで構成された秀逸なデッキをいくつも見かける。

 

 こういったセイバーの視点をもってして作られたデッキは、現実でデッキを組むときかなり参考になる。

 特に始めたばかりの入門者にとっては一枚1000円以上もする強力なカードを買うのは少々気がひけるだろう。そんな時、安くてある程度の強さの水準を備えたセイバー達のデッキは注目に値するものだろう。

 ということで、今回はそんな彼らの使う格安デッキを紹介していくとしよう。

 

 

 

①白黒同盟者

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 ファン部屋の中でおそらく一番使用率が高いこのデッキは、登場時から今の今までトーナメントではお目にかかれなかった同盟者に着目したデッキだ。

 

 基本的には、同盟者を不断に叩きつけていき結集や支援を駆使することによって優位を保ったまま相手のライブを削り取るビートダウンの動きをとる。

 

 特にカラストリアの癒し手と隊長の鉤爪の組み合わせは強力で、盤面を処理できる能力に乏しいデッキには致命的に刺さることになる。

 

《主なカード》

・探検隊の特使

・カラストリアの癒し手

・ドラーナの使者

・岸壁安息所の吸血鬼

・隊長の鉤爪

 

 

②赤緑狼男

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 変身することによってマナコストに対して大幅に強力になる狼男達を集結させて相手に迫るこのデッキは、ファン部屋に置いて赤緑エネルギーと双璧を成すステロイドのアグロデッキだ。

 

 薄暮見の徴募兵やラムホルトの平和主義者のスペックの高さはトーナメントシーンで証明済みで、その他にも環境の陰に隠れた多くの優秀な狼男が存在している。

 

 特に異界月で収録されたケッシグをうろつくものや爪の群れのウルリッチはこのデッキのスペックを更に引き上げたカートで、問題であった最序盤と終盤の動きも確実なものになった。

 

《主なカード》

・薄暮見の徴募兵

・ガイアー岬の山賊

・爪の群れのウルリッチ

・吠え群れの復活

 

 

③赤黒マッドネス

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 赤黒マッドネスという名前自体はトーナメントシーンでも見かけることがあるが、ファン部屋における赤黒マッドネスはそれと異なり、血統の呼び出し+ギラプールの宇宙儀の組み合わせをメインに据えたコンボデッキである。

 

 マッドネスするカードは多種多様であることが多いが、普段見かけないような床下からやギザの招集をこのデッキで試してみる人が多いようだ。

 

 地上はトークンによりガッチリと固められるため、上記のアグロデッキ達にはかなり粘り強く戦えるデッキになっている。除去も多く採用することができるため、ある意味除去コンとしての側面もありそうだ。

 

《主なカード》

・苦しめる声

・精神病棟の訪問者

・血統の呼び出し

・ギラプールの宇宙儀

 

 

④青白パンハモニコン

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 トーナメントシーンでよく見かける青白フラッシュにも採用される反射魔道士や雲先案内人はアンコモンであるため、意外に安く組めるのがこのデッキである。

 

 青白フラッシュとは異なり変異エルドラージ+希望を溺れさせるもの+パンハモニコンの無限コンボを主な勝ち筋としたことデッキは、このデッキを知らない相手に対するわからん殺しにもなるようだ。

 

 本質の変転や奇妙な幕間などの除去耐性も備えているため、ある程度引きが良いだけでトーナメントレベルのデッキをも凌駕する力を持つ。

 

 雲先案内人や反射魔道士によって基本スペックが引き上げられているため、カジュアルのコンボデッキ特有の単体のカードパワーの弱さをあまり感じさせない。

 

《主なカード》

・変異エルドラージ

・希望を溺れさせるもの

・本質の変転

・パンハモニコン

 

 

⑤青単巨像

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 お馴染み金属製の巨像のマナコストを0にすることで体力に投入するデッキは、ファン部屋に集うの多くのプレイヤーの心を掴んだようだ。

 

 多数のマナファクトを展開して金属製の巨像のマナコストが0にできればその猛攻がスタートする。ウギンの聖域によって追加の巨像が連鎖的に手札に飛び込んでくるため、一度展開が始まって仕舞えば止まることを知らない。

 

《主なカード》

・光り物集めの鶴

・予言のプリズム

・ウギンの聖域

・金属製の巨像

 

 

 

 さて、今回はファン部屋でしばしば見かける格安デッキを5つ紹介した。実のところファン部屋で見かける格安デッキはもっとたくさんあるのだが、今回はその中で扱いが容易なデッキのみをピックアップするに至った。

 

 具体的なデッキリストは記述しなかったが、恐らくデッキ名を検索すればいくらでもリストが出てくるため、詳しく知りたい場合は各自調べていただきたい。

怒濤な現出のお話し

 怒濤…そんな能力ありましたね…。(”怒涛”ではない)

 

 1ターンに既にほかの呪文を唱えていた場合に使える代替コストである怒濤は、新イニストラードブロックに登場したマッドネスの陰に隠れてしまった感がある。どちらも多くの場合本来のコストより少ないコストで唱えられるという点では共通しているため、明確にアドバンテージが取れるマッドネスの方が魅力があるのは仕方がない。

 

 しかし怒濤はマッドネスと違い、その能力のための補助カードを入れる必要が無いという利点がある。(マッドネスを使うためには手札を捨てる効果を持つカードが必要)

 

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 さて、この怒涛をうまく使いこなせるカードは無いかと一晩考えた結果……

 

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 なるほどね!

 

 怒濤は本来のコストよりも少ないコストで唱えることのできる能力。それを生かすには、そのコスト差を利用するのが一番いい。ということはもともとのマナコストを参照する現出は、この怒濤と相性がいい。

 他にも病的な好奇心のようなカードとも相性がいいね。

 

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 さて、怒濤は0マナのスペルを絡めると2マナ相当のマナ加速になる。これを示す極端な例を挙げよう。

 

≪例≫

2ターン目 聖戦士の盾+ゴブリンの自在駆けを怒濤でキャスト

3ターン目 ゴブリンの自在駆けを生け贄にして老いたる深海鬼を3マナでキャスト

 

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 ね、すごいでしょ?!

 

 実際にこの動きがプレイアブルなのかどうかは置いておいて、とにかくこういったことができるのは実にロマンがある。(街の鍵やルーターのようなマナを支払わずに手札を捨てられるカードは一部あるが、)多くの場合手札を捨てるカード自体にマナがかかるためマナ域のジャンプが困難なマッドネスと異なり、怒濤はこのように1マナ以下のスペルを駆使することでマナ域のジャンプが可能になる。

 

 ということでこの怒濤と現出をからめたデッキを作ってみた。

 

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 結局マッドネスも使うんかーい!!!!

安いからこそ勧めたい! 《逆毛ハイドラ》

 プレビューで発表されてからずっと注目し続けているカードがある。

 

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 《逆毛ハイドラ》はほぼ毎回のようにセットに収録されるお馴染みの緑のハイドラで、今回も例によって例の如く豪快な能力を持っている。

 

 大きなクリーチャーは軽いコストの除去札で除去されてしまうとテンポを失いやすい。できる限り盤面に長く影響を与えたい。そんな願いを叶えたのがこのカードで、エネルギーさえあればほぼ確実に単体除去から身を守ることができる

 

 呪禁をつけるためのエネルギーはCIPで確保するため、戦場に出たタイミングで除去される可能性はあるが、あらかじめエネルギーを3つ貯めておけばその心配もない。

 

 さて、こんな素晴らしいハイドラなのだから、さぞかし高値で取引されていることだろうに……

 

逆毛ハイドラ/Bristling Hydra:カードデータ - Wisdom Guild

 

 安すぎィ!!

 

 その平均価格、なんと約100円(2016年11月現在)。ワンコインとは普通500円のことを指すが、この場合一回り安いワンコインである。

 

 

 確かに彼には大きな弱点がある。トランプルが付いてないのである。

 

 これは大きな弱点で、クリーチャーが並びやすい今のスタンダードにとって、回避能力を持たない中型のクリーチャーは大勢の小型クリーチャーの前にたじたじとなり易い。特に素のサイズがさほど大きくないこのハイドラは、小型クリーチャー2体でブロックされて1対1交換される可能性がかなり高いのだ(例を出すと、大きくなった《発明者の見習い》×2でブロックされると、能力を一回使っても1対1交換になる)。

 

 

 さて、こういったわけでどうしても鳴かず飛ばずな彼だが、それだからこそ是非格安デッキを作る上でのお供にして貰いたい。

 

 トランプルがないとは言え除去耐性と自身のパンプアップができるのは上々であるし、《憑依の外套》《気宇壮大》《街の鍵》なんかでその弱点を克服させてやればいい(幸いなことにここで挙げたカードはどれも安い)。更に、一度能力を使えば最大火力の《光輝の炎》からも身を守れるのもありがたい。

 

 もしこのハイドラを軸にデッキを組むなら『赤緑エネルギーアグロ』に仕上げるのがいいだろう。ほとんどのパーツが100円ほどで、デッキの総価格も5000円以内で済むはずだ。自分で使うにも、周りにいるmtgを始めたいと思っている人にあげたり貸したりするのにも丁度いい。

 

 このカードを使って、値段=強さ、ではないということを是非実感して欲しい。そしていつの日か……彼がプロツアーの優勝者のリストで燦然と輝いているのを見たいものだ。

 

デッキ制作に至る思考

 初っ端の記事として、まずは自分のMTGに関する取り組み方について書こうと思う。

 

 普段クリエイティブな活動をしているせいか、MTGに関しては対戦よりもデッキ制作の方にずいぶんと力を入れている。所謂”電波デッキ”と呼ばれるようなマイナーデッキから環境に即したガチデッキ、そして入門者に向けた格安デッキまでと、かなり幅広い方向性をもってデッキ制作にいそしんでいる。

 

 しかしながらこういったデッキ案は、実の所最初からこういったものを作ろうという目的を持って考えているわけではない

 というのも、多くの場合そのアイデアはとあるサイトを眺めていて思いつく。

 

 

 それは公式のカードギャラリーである。

magic.wizards.com

 

 一通りのカードのテキスト、イラストが掲載されているこのサイトは、デッキビルダーにとって至高の宝石箱のようなものだ。気になる効果を見つけたらすぐにそれと相性のいいカードを探し、そしてそれを軸にしたデッキを模索する。また、イラストを見てヴォーソス的にデッキを構築するのも良い。無限の可能性を秘めたこのリストは、古の秘宝を記した古地図のように私たちをアイデアの深淵に誘う。

 

 もう一つ紹介したいサイトがある。

 MTG Wiki

 

 MTGWikiは古今東西あらゆるカードのデータと詳細な説明、そしてそれらに関するいくつかのルール文書が掲載されている。

 もしカードギャラリーでとっておきの一枚を見つけた場合、自分は多くの場合真っ先にこのサイトを開く。そのカードの説明文に何かしらのヒントが載っているかもしれないし、もしかしたらその説明文に記された他のカードに対してさらに興味がわいてくるかもしれない。様々なカードが絡み合うように掲載されているこのサイトは、自分の思い描いたデッキの形をまとめるのに非常に役に立つ。

 

 

 そうやって新しいアイデアがある程度まとまってきたら、次は具体的なデッキの形にするためにそのデッキに入れるにふさわしい精鋭を探すことになる。

 

teamys.net

 

 自分はその相棒たちを探すためにこのサイトを使う。具体的なカードの検索が簡単にできるこのサイトは、瞬間的に湧いたアイデアをすぐさま形にするのに非常に向いている。「カードを引くたび」ならば『カード 引く』で検索し、「戦場に出たとき」なら『クリーチャー 戻す』などで調べることになる。

 そうして見つかったカード達をすぐさまリストへと入れ込んでいき(ありがたいことにこのサイトではデッキリストを同時に作ることができる!)、しばらくの後にそれは一つの完成されたデッキになるのだ。

 

 

 ジャンルに問わず、アイデアと言うのは生ものだ。一瞬の素晴らしいひらめきも、時が立つにつれて劣化し、破損していく。記憶というのは恐ろしいもので、時を重ねてしまうとそういった最高の瞬きをも忘却の彼方へと葬り去ってしまう。

 もしアイデアがひらめいたら。その時はすぐさま行動を起こすといい。結果的には空振りに終わってしまうことも多々あるだろう。アイデアというのは多くの場合取り留めもなく、そして不格好なものだ。しかしながら最高のアイデアというのはそういったひらめきの潮流の中に隠されているものだ。1つずつ丁寧に吟味し、そして推敲するうちに、それは見つかるのだ。

 人間の瞬間的な思考力を侮るなかれ。それは自分自身が思っているよりもずっと強大な力を持っているはずだ。

 

 

 そうしていつの日か至高のアイデアを手にすることを夢見て、今日もカードギャラリーを漁るのである。